2人が本棚に入れています
本棚に追加
次は光の番であったが、光は一歩前に出る前にわざと亮の足を踏んだ。
「あら、ごめんあそばせ。」
これまたわざと光はお嬢様のような口ぶりで亮に謝った。
けれど亮も光に対しわざと知らん顔をした。
これから自分が平穏な高校生活を送るには、今後極力光るとは関わらないことが肝心だと思ったからだ。
光はそんな亮にフンといった様子で、自己紹介を始めた。
「私は田辺光です!
好きなことはお話することや、買い物とか、他にも色々あります。
嫌いな物と言うか、嫌いなことは嘘をつくことです!」
嘘に関して光は、亮を見ずともその言葉は完全に亮に向けられた言葉であった。
亮もそのことには気づいていた。
しかし、光の言う嘘とは亮がスカートの中を覗いたにも関わらず見ていないと言う主張であった。
ただ、亮にとってはそんな事実はなく、嘘ではないためにどうとでも言えばいいと思った。
少し思うところがあるならば、それは自分を作家であると言わない偽りであった。
光るも紹介を終え一歩下がる。
亮はまた踏まれないよう足に気を配っていたが、皆の前もあり、光るもそこまで露骨することはなかった。
二人が席に戻ると、木村先生は高校生活におけるオリエンテーションを始めた。
それが終わると次は校内の案内をされ、この日はそれで終わった。
最初のコメントを投稿しよう!