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しばらくすると、自分の本が置いてあるコーナーを見つけた。
そこには大きく、高校生の新人作家デビュー作と書かれた、手作りの飾りがしてあった。
こう見ると、自分はやっぱりデビューしたのだなと実感する亮。
そして、これをこれからどんな人が手に取り読んでくれるのだろうと想像すると、なんだか嬉しいような不思議な気持ちになった。
亮が腕時計で時間を確認すると、サイン会の開始五分前であった。
急いで戻らないと、また佐々木からドヤされると思い、Uターンした時、いつまにか後ろにいた人にぶつかってしまった。
そこには、制服を着た女の子が立っていた。
見た目からすると、おそろく女子高生であることと、茶髪であることしか分からないが、足元に亮が書いた本が落ちていた。
たぶん、女の子が落としたものと思い、落ちている本をしゃがみこんで取り、そのまま上を見上げるとその子に渡した。
その子は、見上げる僕からサッと本を奪い取るように取ると、亮の横をスッと通りすぎていった。
少し横暴ともいえる態度に違和感を感じたが、もしかしたらあの子もサイン会に来るのかなと、亮はふと思いながら控え室に戻った。
それから亮は佐々木と一緒に会場に行き、サイン会は始まった。
皆、亮を見てキャーキャー言っている。
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