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それはおそらく、佐々木の言っていたイメージによるものなのだろう。
亮に対して一馬を重ね合わせている女性方は、亮がデビューしていなければ一生かけられないであろう声援が飛び交った。
少しの混乱はあったが無事に最後の一人にサインを書き終え、盛況のうちに終了した。
「いやー、先生お疲れさまでした。
あんなに盛況だったのは、私担当になった中で一番だったと思います。」
佐々木は無事に終わったことに安堵したのか、顔がにこやかだった。
「それはよかったです。」
亮は帰る支度をしながら答えると、ふとした質問をした。
「佐々木さん、ちなみになんですが。
今日のサイン会に、茶髪の女子高生っていましたか。」
「いえ、私が見てる限りではそんな人いませんでしたけど、その人がなにか。」
佐々木は不思議そうに聞き返してきた。
「いえ、なんでもないです。」
なぜ自分でもそんなことを聞いたのか分からなかったが、引っ掛かるものがあったのは確かだった。
その日はサイン会で終わり家に帰った。
家で佐々木と別れた際、「今度は何かある時は、絶対にちゃんと起きてくださいね」と、次の念を早めに押された。
部屋に入るとスーツを脱ぎ床に寝転んだ。
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