2.親から卒業

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    小学校はそれでも良かった。変人は変人でもそれなりに『いいトコのお坊っちゃま』という前置きが付いたから。ケンカはしても大きく発展することは無い。  それにみんなは花の勢いに気圧されていた。口でも頭でも勝てないから心がコテンパンにされる。だから傷を負うほどの喧嘩の相手はたかが知れていた。  中学校入学。 「花、今度ばかりは行くからね。スーツもちゃんと用意したし」 「私もよ。何を言ってもだめ」  確かに今回ばかりはどうしようもないと思った。さすがに入学式に来るなとは言いにくい。 「分かった。ありがとう、わざわざ明日の入学式のためにルーマニアから戻ってくれて。でもさ、どうせならもっと早い時間が良かったな。今、もう11時半だよ。俺がいい子だったらとっくに寝てる時間」 「ごめん。個展の打ち合わせで時間がかかったんだよ。責めるならダディを責めておくれ」 「じゃ、ダディ。この瀬戸際でバタバタするのは良くなかったと思うよ。もっと早く連絡を入れること。入学式に出たいってもっと早く言ってほしかった、俺にも心の準備が要るから。だから反省して」 「花、反省する。許してくれるかい?」 「んんー。無事に入学式が終わったら、許すかどうか検討するよ」 「じゃ、明日の午後評価をしておくれ。立派に大人しく参列するよ」  少しは安心したが、何か忘れている気がした。自分の部屋に戻りかけて、くるりとターンする。  
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