疑惑の検査入院

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病院に入って早々、白衣のボタンをきっちりとめた茅野さんが出迎えてくれた。やっぱり、怪しい……。 「お待ちしておりました、山根陽太さん。落ち着いたところでお話したいので、病室へどうぞ」 「はぁ……」 ますます怪しいと思いながらもついていくと、個室に連れていかれた。これはもう、間違いない……。 「どうぞおかけください」 茅野さんがベッドに座るように促すので、僕は荷物をサイドテーブルに置いてからベッドに腰掛けた。意外と座り心地がいい。 茅野さんはパイプ椅子を僕の前に広げると、前かがみ気味になりながらベッド付属のテーブルに資料を置いた。 いつの間にか白衣のボタンは全部外れていて、胸元が大胆にあいた黒い服から、今にも零れ落ちそうな大きなふたつの白玉が目につく。 「残念なことに相部屋が空いていなかったので、個室になります。こちらの事情で個室になったので、相部屋料金です」 茅野さんは淡々と説明をしているけど、チラチラと思わせぶりなアイコンタクトを投げかけてくる。 その後は検査内容について説明されたけど、最もらしい言葉を並べているだけにしか聞こえなかった。 「消灯時間後には、見回りの方が来ると思います」 茅野さんは分かりきった事をわざわざ言うと、部屋を出た。 「消灯時間は9時か……」 僕は病院のスケジュール表を確認すると、荷物の整理と着替えをした。荷物と言っても、大した量はないんだけど。 ひと段落して時計を見ると午後2時半過ぎ。検査は3時からだから、時間はまだある。 僕はアプリで漫画を読みながら、時間になるのを待った。 まだ2時50分だというのに、茅野さんははやくに来た。白衣のボタンはきっちりしまっている。 「少しはやいですが準備ができたのでいきましょうか」 「はい」 言われるままについて行き、検査を受けることになった。けれど、MRI検査、血液検査、尿検査と3つの検査をやって終わってしまった。所要時間は移動もふくめて、1時間と少し……。
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