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“先輩は私に気を遣わないでしょう?”
そう言われてしまうとそこから変に優しくする訳にもいかず、彼女が僕を天敵扱いすることはなくなったと実感する頃に僕は卒業した。
式のあと、なんともそっけない挨拶を交わしてからというもの、佐野若菜には一度も会っていない。
それなのに、僕の中ではまだ彼女の代役は現れない。
将来について視野の狭かった僕の生き方に大きな影響を与えてくれたこともあるけれど、それだけではない想いが胸の奥にずっと残ってしまっている。
「碓氷先生、ちょっと」
50代半ばのベテラン看護師長だ。
「あ、はい、今行きます。みんなー、誕生日会の飾り付け、進めておいて」
『はーい』
新しい生徒が入るのだろうか。
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