53人が本棚に入れています
本棚に追加
─ふと、卒業式のあと、彼女と最後に交わした会話が鮮明に蘇った。
『私、先輩にずっと聞きたかったことがあって』
『俺に?何?』
『あの資料室のあと、友人の葬儀を終えて学校に登校すると、誰一人私のことをあの呼び名で呼ばなくなっていました。先輩、何かしましたか?』
『いや、なにも?』
『─そうですか。ご卒業、おめでとうございます』
生徒会長としての最初で最後の職権乱用。
それを彼女に話すことは今後もないだろう。
どうやら、僕の懐かしき彩り溢れた毎日が、また新たに始まるようだ──。
End
最初のコメントを投稿しよう!