3/8
前へ
/28ページ
次へ
何事もソツなくこなす、と言われるほど本当は器用ではないし度胸もない。 それなりの努力と準備をしているのだ。 そんなわけで、挨拶の練習をボソボソと呟きながら、今日この日を祝うような見事な桜並木のトンネルを歩いていた時のことだった。 部活動の朝練もない今日、他に生徒の姿はない。 目の前の人物を除いて。 「大丈夫ですか?」 主人公は、ピンク色の花びらの広がる地べたにのっぺりと転び、そのまま固まっていた。 美しい景色の中、主人公の姿はあまりにミスマッチだ。 どうしたらそうなるのか、手はバンザイ、鞄は前方に転がり、顔を地面とくっつけている。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加