3章

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僕とちほちゃんがお見舞いに行った日の夜、みずきくんは高熱を出した。 もちろん村の病院に急患として運ばれたけれど、なにしろ大きな手術のできない病院だ。処置に手まどい、救急車を呼ぶことにすら気が回らなかったのだそう。 お医者さんが近くの町の大学病院に連絡した時は、既にみずきくんの意識はなかった。 昨日、お葬式の準備の手伝いから戻ってきたお母さんが口早にそう説明した。 黒い服に身を包んだちほちゃんは、大きな瞳に涙をためて僕の隣に座った。何もやることがない僕は、じっと動き回る大人達を見ていた。 やがてなおとくんもやってきて、3人で円形になるように座った。 「俺がみずきのこと川に誘ったんだよ」 僕とちほちゃんは顔を上げて、何も言わずになおとくんを見つめた。その2人分の視線から逃げるようにさっと顔を下に向ける。
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