1章

2/4
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「ケンちゃんっ! ねぇ、ケンちゃんってば!」 眩しい日差しを背にして、隣の家のちほちゃんが大きな声で僕を呼んだ。 「なぁに?」 「あかねちゃんの話聞いた?」 ちほちゃんは興奮気味に詰め寄る。僕は反射的に半歩下がって首を横に振った。 「なぁんだ。知らないのね」 ほっとしたような顔でブランコに座ると、ゆらゆらと足でこぎ始めた。とりあえず僕もブランコに座って、ちほちゃんが話始めるのを待つことにした。 ちほちゃんは途中までこいで、突然足を止めた。サンダルがザーッと音を立てる。砂ぼこりが舞った。 「あのね、あかねちゃんがね、死んじゃったんだって」 僕は信じられなくて、ちほちゃんの顔をじっと見つめた。涙目になった姿を見て、嘘じゃないんだと思った。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!