3章

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ちほちゃんは何も話さなくなった。そしてそのまま、僕も口を閉ざした。2人とも何も話さないまま、てくてくと暗くなり始めた道を歩いた。 「先に帰っていて」と、お母さんに渡された家の鍵がとても冷たく感じられる。 「やっぱりケンちゃんの言ってること、信じられないよ」 別れ際、ちほちゃんは僕と向かい合った。 「だって皆死んじゃうなんて嫌だもん」 「うん……」 ちほちゃんはバツが悪そうに、玄関の扉を開けた。 「またね、ケンちゃん」 「うん……ばいばい」 ちほちゃんも僕も、きっと分かってる。 折り鶴の正体はきっと――。
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