3章

9/12
前へ
/29ページ
次へ
お見舞い自体みんな嫌そうだった。だから僕は黒い折り紙を集めて、さえちゃんに不吉な沢山の鶴を送ってやることを提案したのだ。 これで少しは楽しくなるだろうと思った。 本当は千羽鶴の方が良かったけれど、黒い折り紙だけ集めるのは難しい。だから1人1羽の折り鶴を用意して、それをさえちゃんの病室に届けた。 あの時のさえちゃんの嬉しそうな表情を思い出すと、罪悪感がない訳でも無い。黒い折り鶴が不吉なものだと疑ってもいないようだった。 それが余計に気に入らなかった。あの純粋な笑顔に腹が立った。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加