3章

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でも僕はなんだかやるせない思いになって、もしさえちゃんが学校に来たら謝ろうと思った。もしさえちゃんが元気になることがあったら、一緒に遊んであげてもいいと思った。 それなのに彼女は二度と学校に来ることは出来なくなった。それは病気ではなくて、事故だった。 さえちゃんは雨の日が好きだった。夏休み最後の日は、特別に外に出て透明な傘をさして歩いた。 さえちゃんのお母さんが目を離した隙に、国道に飛び出してしまった彼女はそのまま車に轢かれて死んでしまったのだ。雨で視界が悪い中、透明な傘をさしていたさえちゃんを運転手は気づくことが出来なかった。
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