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4章
「ただいま」
僕が台所に向かって声をかけると、お母さんが顔を覗かせた。
「おかえりなさい。門限過ぎてるじゃない」
「ごめん、ちほちゃんと公園に行ってたんだ」
すると、お母さんはきょとんとした顔でこう言った。
「ちほちゃん? 他の学年の子と遊んでたの?」
「隣の家のちほちゃんだよ?」
お母さんは少し困ったように笑って、僕にリビングに行くよう促した。
「お隣はずっといないでしょ? あなたに手紙があったのよ。テーブルに置いてあるわ」
僕は困惑を隠しきれないまま、テーブルの上の封筒を手に取った。
僕の背後ではお母さんがリズミカルに野菜を刻む音がする。
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