3章

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3章

人生において葬式は何度経験するものだろうか。予測のできる死は、大抵の者が覚悟をする。では突然訪れた場合はどうだろう。 僕は少なくとも夏休みのうちに2度の葬式を経験し、突然の別れを強いられた。2人ともこれといった予兆があった訳でもなかった。 みずきくんだって熱はあったけれど、数日やそこらで死んでしまうようには見えなかったのだ。 みずきくんのお母さんは、訪れた人々に何度も自分の感情をぶつけた。 ――もっと大きな病院に連れて行っていれば。 同じ言葉を繰り返す。 この村では十分な処置が出来ないらしい。もっとちゃんとした町の病院で見てもらえていれば、みずきくんの傷口から入ったバイ菌を見つけることが出来たのかもしれない。 そう思うと、僕も悔しくてたまらなかった。
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