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あれから、俺は散々だった。
クラスのみならず女子から怪訝(時々殺意)の目で見られ。
男子からは会う度に哀れむような嘲るような、とりあえず同情されている目で見られてる。
友人からは「お前、あの矢神とオンナ取り合ったんだってな!」と得もしない噂を聞かされて。
「もーやだ!」
好奇の目から逃れようと、昼休みになると教室を飛び出し屋上へと走った。
ガシャン、とフェンスにぶつかり、空の向かって大声で叫ぶ。
俺はこんな風に注目されるのが駄目なのだ。
比較的波風を立てず、静かに。
存在感なんて皆無な状態で良いとすら思ってるのに!
「大声で叫んでどうしたの」
ふふ、と風に乗って柔らかなテノールが響く。
げんなりと振り替えればキラキラ王子スマイル。
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