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ふつり、と喋らなくなった俺に対しても、こいつは変わらず優しかった。 柔らかな声で、言葉を紡ぐ。 屋上に吹く風がこいつの優しさを助長しているようにさえ、感じた。 自分自身も、とても珍しいと思う。 それなりに人付き合いというのもしてきたお陰で、分け隔てなく誰とでも接することが出来るのに。 こいつ相手だと、出来ない。自分を繕えない。 可笑しい可笑しい可笑しい! そんな思いが巡って、また口を閉ざす。丸で堂々巡りだ。 「なんか印象違うな」 思考を巡らす俺を見て、矢神がそう云う。 何が、と問い掛ければ左右に首が振られる。 「なんかさ、深山って明るいイメージがあった」 ドキリ、心臓がなる。 「それとも俺が嫌われてんのかな?」 そう云って、苦笑い。 嫌いと云えば嫌いだと思うけど。 他人からそう思われてるんじゃないかという、こいつの心の闇を垣間見た気がした。 「…馬鹿じゃね、」 「そうかもねぇ」 ぽつりと漏らした言葉に矢神は笑う。 寂しそうな、なんとも言い難い笑顔で。
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