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俺のこれは一種の特技である。
別に自慢してるわけでもないし、多分普通はいらない能力。
無駄なハイテンション。それに集団の中でしか発揮されないという条件つき。
結城曰く、表情も豊からしい。本当の俺は冷めきってるのになぁ。
人間って目の情報を頼るからこそ、俺は表面上の付き合いだけでどうにかなってるのだろう。
じゃなきゃ一番に嫌われてんだろうなぁ。なんて。
そんなことに思考を巡らせていれば、話は戻って、と千が言葉を切り出した。
「鶴ちゃんちょー怒ってたよ」
「げ、やっぱり?」
「はい、伝言!」
くふふ、と千が笑って云ったその台詞に一気に体感温度がマイナスに下がる。
続いて、結城に鶴ちゃんからの伝言らしいメモを渡された。
「『放課後準備室に集合』…」
「明日の準備だって」
「配布プリントたくさんあるからなぁげへへって」
「いや、げへへは云ってない」
ばかみたいな千に結城がしっかりつっこんでいるのを聞きながら、俺はメモを見つめる。
放課後、特に予定はないけれど、めんどくさい。
でも鶴ちゃんを無視した方が後々を考えるとめんどくさいんだよなぁ。
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