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「鶴先生、手伝いにきましたけど、」
鶴ちゃんからホッチキスを受け取って説明を聞いてると不意に扉が開いた。
聞こえた声は柔らかなテノール。つい先程耳にした、声。
「矢神」
「あれ、深山」
俺に気が付いたらしい矢神がふわりと微笑む。
お、…なんかアイドルっぽい。(実際学校のアイドルなのだが)
「良かった良かった、じゃああとは二人で宜しく!」
「はぁ?」
「俺は会議があるんだよ」
教師っていうのも面倒なんだよ。
そう一言ぼやいて、鶴ちゃんはにこやかに去っていく。
きらきらした笑顔に抱くのは呆れとか、諦め。
鶴ちゃんはそんな人物なのだ。
えーっと、まぁ、それはともかく。
「矢神もなんかの罰?」
「いや、俺はそこで捕まって」
問い掛けた言葉はさらりとかわされ、深山は罰なんだ、と笑われた。
畜生、墓穴を掘ってしまった。
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