燃ゆりて、紅。

４

しんとした廊下を歩いていると、前から数人の男女がやってくる。
矢神を見つけたせいだろう、ぱっと女の子たちの顔が輝いた。

「夏生！何してるの？」
「先生のお手伝い」

えー、そんなキャラじゃないじゃんー！
と、女の子の黄色い声。
おいおい、一緒に居た男たちはどうした？
女の子と一緒に居たはずの奴らは面白くなさそうな顔して、見当違いにも矢神のことを睨んでいる。
当の本人はといえば、気付かないのかわざとなのか、涼しい顔して女の子たちに笑顔を向けているわけで。
なるほど、これが積み重なってあの噂に辿り着いたわけだ。
つまるところ、男の醜い嫉妬？