燃ゆりて、紅。

４

「深山っお前なんでこんな奴と居んだよ！」
「え？」

ぼんやりとその背景を考察していた俺に不意に声が掛かった。
吃驚したけど、その声色は矢神に向けられない怒りを俺に向けているとしか思えない。

「こいつの噂知ってんだろ」
「んー、」

ぐいぐいと俺の腕を引っ張って、小声で云われる。
数人の男子に囲まれて、結城から聞いた噂とまた異なった噂を耳にする。
噂に尾ひれがつくのは当たり前だ。
内容が違うのも、その尾ひれのせいなのだろう。