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最近、矢神とよく居るようになった。 …と、云っても放課後とか、昼休みの屋上とか、人気のないところだけだけど。 結城は相変わらず俺の心配をしてくれてるのか、口をすっぱくしながら「矢神と関わるな」と忠告してくる。 すっかり関わりを持ってしまった俺はそれになんの反論も出来ず、ずるずると言い出せないままでいる。 「今日はデートないの?」 矢神に関して、分かったことが幾つかある。 まず、意外なことにこいつは寂しがり屋だ。 放課後はほぼ毎日のように女の子たちとデート。全く、善い身分である。 そりゃあ男子から恨まれるのも分からなくない。 「うん。今日は深山と居たかったから」 それから、気を許した相手には、とことん甘い。 別に俺がその対象になっているとは思わないが、彼の回りに刺はなく、こうした何気ない動作からそれが発せられているから間違いはないと思う。 矢神が漏らすその台詞にそうか、と相槌を打って手にしたジュースのパックを口に含む。 ふわりと広がるグレープフルーツの香りに続き、甘い紅茶が喉を通った。
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