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「今日、深山は?なんか用事あんの?」 「んー、家に直帰」 グラウンドから聞こえる野球部員やサッカー部員の声をBGMに、淡々と話を繋げる。 それはとても淡白なもので一見してみれば意味がないように感じるが、俺は結構この雰囲気が好きだったりするのだ。 ぎゃーぎゃー騒ぐわけでなく、かといって静かなわけでもない。 決して検索されないこの距離に、酷く安堵する。 「じゃあもうちょっと、学校に残るの?」 「何時もの如くね」 「ふふ、じゃあ俺もそうする」 ちゅーちゅーとストローでジュースをすする俺を楽しそうに眺めながら、矢神は微笑む。 …この笑顔。 俺は矢神の必殺武器なんじゃないかと思っている。 華が綻ぶと云うか、その柔らかな表情は同性の俺でも目を見張るものがある。 なら、異性の心にクリティカルヒットは、当然であろう。 (…この表情をもっと出せば善いのになぁ) まぁ、俺には関係ないことだけど、ね。
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