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今まで放課後一緒に居る時はあったけど、一緒に帰ったことはない。
俺が他人と登下校するのを嫌がるせいだけど、根本に家の方向が反対なんだよね。
俺は徒歩15分で近所なのに対し、矢神は電車で3駅。
ついでに云うと結城も千も電車通学だから、合わせない限り俺が誰かと一緒に帰ることはない。
…近場の俺だからこそ云える台詞だが、遠いところからご苦労様だと、いつも思う。
ホントは用がなきゃ駅前になんて足を運ばないのだけど、この際ついでだ。
本屋にでも行ってみようと思いながら、矢神に再度視線を向ける。
「荷物取りにいくから、教室行く」
「リョーカイしました」
鞄を自分の隣に置いている矢神と違い、俺の鞄は教室に置きっぱなしだった。
だからそう声を掛ければ、矢神はにそれに、こにこしながら返してくる。
…嬉しそうに笑って。
帰る相手くらい幾らでもいるだろうのに、変なやつ。
まぁそれは矢神曰く友達ではないらしいけど。(いや、でもある意味トモダチではないのか?)
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