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後ろについてくる矢神の気配を確認して、重い扉を押した。
途端にむわっと埃の匂いが鼻につき思わず眉をしかめる。
普段立ち入り禁止の場所だからか、掃除も大分手抜きなようで、かなり埃くさい。
嫌悪感を露にしながらトントンと階段を降りた。
「ってか、屋上って意外と人居ないんだな」
「うーん。みんな遊ぶのに忙しいんじゃねぇの」
どこかの誰かさんみたいに。
矢神の台詞に嫌味を含めて返せば、彼は肩をすくめて俺に視線を寄越した。
「俺は遊び人じゃないよ?」
「はいはい」
「信じてないでしょう」
むっとした矢神の口調に口元が綻ぶのを感じながら、わかってるよ、と小さく答える。
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