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矢神は決して遊び人なんかじゃない。
人と付き合うのが下手なだけなのだ。
人付き合いが下手だから、同性となかなか上手くいかない。
だから笑っていれば善いだけの異性に付いて行ってしまう。
結果、周りにそのような印象を与えてしまったのだ。
これも、こうして矢神と関わることがなかったら知り得ないこと。
結城もわんわん云ってないでこうやって話せば善いのにと思う。
結城が誰かの悪口を云うのなんて似合わない。
「深山ってば、」
「うん。大丈夫。ちゃんと知ってる」
しつこく声を掛けてくる矢神に、安心させるようにそう返した。
誰かに嫌われることを酷く嫌がる彼を安心させるために、優しく言い聞かせるように。
そうすれば、ほっと安心した顔を作ってにこりと微笑む。
…えらく懐かれたものだ。
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