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笑顔を作る矢神と特に会話を弾ませるわけもなく、しんとした廊下を歩き、クラスへと向かう。 話し声の聞こえない校舎に、残ってる生徒は少ないのだろうと考える。 人目を気にすることもなく矢神と隣に並びながら教室に入り、カーキ色のリュックを手にとる。 「あ、」 途端、窓に駆け寄った矢神の声に、何事かとそちらを振り向いた。 「見て。真っ赤」 嬉しそうに笑う矢神の指先を辿れば太陽が落ちかけるところで辺りは真っ赤に染まっている。 うちの学校の裏側には池があって、その水面も夕焼けで真っ赤だった。 「綺麗だねー」 「うん」 矢神がほう、と息を漏らす。
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