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そうしているうちに、時間は刻々と過ぎ、辺りは次第に暗くなってきて。
案外時間を潰すのに苦労はせず、ふと時計を見た時に少し驚いたくろいだ。
矢神の話術というか遊び場というか、悪く云えば、遊び歩いてるということを今日一日で改めて身を持って体験することが出来た。
「悪い、俺そろそろ帰る」
歩を進める矢神に声をかけ静止させると、そう切り出した。
最後に、もう暗いし、と付け足して。
一応云っておくが、暗闇が怖いというわけでは決してない。
ただ俺の家は住宅街の真ん中に位置し、電灯は明るいと言い難いもので、出来るだけ早く帰りたかった。
「そっか。もうこんな時間だもんな」
「ごめん、水差すようで」
「何で深山が謝んの?無理矢理誘ったのは俺じゃん」
俺の謝罪の言葉を受け、目を丸くしたあと、すぐににこりと微笑んだ。
…フォローのうまい奴め。
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