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じゃあ、と切り返されて、また明日、と口にしようとして留まった。
…明日も会うことが当然であるように、最近頻繁に校内で見合わせてる気がする。
「深山?」
思わず思考を巡らせる俺に不思議そうに矢神の声が掛かり、はっとする。
いつの間にか顔が俯いていたらしい。
慌てて矢神に向き直り、苦笑を盛らす。
「ごめん。何でもない」
「そう?また明日ね」
「…あぁ」
また明日。
ぽんと口にした矢神の台詞は、俺が先程躊躇した言葉だ。
それに少しの時間を置いたあと、俺は片手を上げてその言葉に答えた。
不思議そうな矢神の顔を振り払うかのように、俺はくるりと身体の方向を変え駅から遠ざかった。
背中に視線を感じたが、それも10メートル程歩けば消えたようで感じなくなった。
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