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暗闇に紛れながら、正体のわからない焦燥感に駆られるように足早に帰路につく。
(…どうしよう、)
近くなりすぎた、と。
頭の何処かで警告音が鳴っている。
脳内に焼き付いて離れないのだ。
楽しそうに話す矢神の笑顔。
そうして、それに返す自分自身も。
距離が近づいていることに心が焦り出す。
がんがんと痛くなる頭を抱えながら、必死に足を動かした。
…他人と関わる度に感じるこの違和感。
矢神もやはり例外ではないらしい。
全く、意味のない感覚だとは分かっていながらも、どうしても拭うことが出来ない。
ぎり、と歯を食い縛って、俺はいつのまにか、走りだしていた。
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