オレの今と爺ちゃんの昔

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『まぁ、今の話は八十年も昔のオレの青春時代の事だからお前達には想像も付かないだろうが、何が言いたいかっていうとだな、“いい時代になった”という事さ。お前達は全員幸せ者なのだ。』と言って説教は終盤に差し掛かっていく。確かに今はいい時代だと思う。争いも無くて平和だし、学校には行かないといけないけどバイトも出来るし、星外渡航も異性交流だって自由に認められている。爺ちゃんの若かりし頃にはそれどころは無かったのだとか…。 だが、ここで感情に任せて不用意に『今は義務教育の項目や新教科や催しがどんどん増えてきて、複雑になった人間関係や多様化する異生命間の交流が増えて、めんどくさい事や煩わしい事が多くて今は今で結構大変なんだ。』などと言って反論すると爺ちゃんの感情を逆撫ですることとなり、『贅沢言うな!』と言って小突かれるのだ。そして三次災害的にお決まりのパターンで昔話が第二章へと強制移行するのだ。 『オレがお前くらいの頃はなぁ、食う物も今みたいにボタンひとつで出てくるなんて事はなかったし、明日がどうなるかだって想像も付かなかったんだ。ギターもベースもドラムだってその辺で拾って来たような物で、弦や部品が足りないのが当たり前のポンコツでプレイしてたんだ。』いつもこうなってしまった時はもううんざりした気分で、この場から逃げ出したいのだが、一応話を聞いているふりをして、大人しくしておかないと四次災害でまたゲンコツが飛んでくるのだ。     
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