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昭和の猫は見えない壁があるのに、やたらと自己主張はしたものだ。
要するにこの家は、この飼い主は自分のもんだから、他の奴には渡さねぇ!とばかりに刺々しくヤル気満々だった。
事実、どの猫も自分の縄張りを守り侵入者を駆逐するためにはあらゆる手段を使い、なかなかにえげつなかった。
そんなにしなくても仲良くすれば良いじゃん~、などといつもぼっちな自分を棚に上げて、猫に説教し懇願してみても。
猫たちは
「ケッ!
ふざけんじゃねぇぞ!
仲良くなんか出来るわきゃ、ねーだろ?」
とばかりに赤猫に八つ当たりする始末であった。
タビはともかく他の猫たちの、赤猫に対する態度なんざそんなもんだったのである。
これは赤猫が子供だったからだろうか?
とにかくどの猫も偉そうだったし、気に入らなきゃいつでも出て行くぜ!的な雰囲気を纏っていた。
ニンゲンのお世話になってるんじゃない、お世話をさせてやっているんだ!とでも言いたげな勢いだったのである。
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