セッション

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「お昼、食べに行った?月島」  電話に捕まっていた月島を残して今日のランチは田神と二人で出た。帰ってきた時にはまた別の電話に嵌っていた月島。 「あんぱん、かじった」 「は?だけ?」 「食べてないことはない」  子供のような屁理屈。やっぱり眠いのか、ハスキー犬を彷彿させる月島の目の据りっぷりに、微妙にツッコむことが憚られる。本能的な何かだろう。 「そんな厄介なクレーム?」  守秘義務があるため、身を乗り出して小声で尋ねる。すると、 「営業の美鈴ちゃんがさ――」  後ろにふんぞり返る月島。  モテてお困りのようで。心配して一瞬でも時間を無駄にした。 「仕事以外のクレームだね?とりあえずお腹に何か入れなよ。ね?」  飲み物が来た。ついでに腹の足しにはならないが、とりあえず枝豆やイカの塩辛といった早く持ってきてくれそうなつまみをオーダー。メニューを開き、さらに具沢山ビビンバを追加注文する。 「田神は何食べたい?」  魂がふわふわと宙を散歩してる田神に尋ねる。 「晴さんは今すぐにでもいい奥さんになれますね」  対応しない答えがうっとりと返される。どこまでも静かに酔うタイプだ。害はない。面白いからネタとして採用。 「ありがとね!お礼に唐揚げ注文したげる!!」  右から左へ綺麗に流した私に田神が真摯に尋ねる。 「晴さんはどうして結婚しないんですか?」  一発セクハラだということをほやほやの新卒は知らない。 「えー、どうしたら結婚できる?田神、知ってる?」 「婚姻届けを書いて役所に持って行けば24時間OKです」  と、田神。ですね。ですよ!そうですよ!
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