セッション

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「それウケ狙いでしょ?」  年齢が上がるごとに洗練され、出会った頃よりも骨格はシャープになった。同じだけ内面も無駄な部分が削ぎ落とされ、男らしい顔つきになった月島。なのに、勿体ない。ここまでされると笑いを誘っているようにしか見えない。 「は?まさか!」  そんなわけねぇだろ、そんなバカどこにいる?と逆に鼻で笑われる。「目薬は?」と、聞くと「忘れた」と言う。バカはあなた。 「100年の恋も冷めるよ、それ」  呆れた私から自然とため息が溢れる。 「別にいいし」 「そうね。月島はアバンチュール属ワンナイトラブ派ね」  100年も必要ない。 「違うわ!なんだそれ?どんな生態だよ!」  心外だ!と拳を握り、訴える月島。 「違うの?」 「ひっどいな!!俺、どんだけチャラい設定?」 「私から見たほぼ実寸大の月島です」  私が前を向いたまま答えると、横で月島は椅子に深く座り直した。 「違うよ。そうじゃなくてさ」 「ん?」 「冷められても別に問題ないってこと。俺が好きなことには関係ない」 「なに真面目に――」  思わず月島を見てしまう。至近距離で目が合う。どこか寂しそうに微笑む月島には、なんとも言えないやるせなさがみえた。疲れをより濃く見せる。 「ねぇ。なにか、あった?」  声が掠れる。もう笑いにも冗談にもできない。その答えを知りたい。
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