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「花、久しぶりだね」
それは雄大と出会った時期と同じ秋頃のこと。
一人で駅から家までの道を歩いていたら、たまたま元彼である……駿輔と会ってしまった。
駿輔とは別れてから一度も会ったことがなかったから、どうすればいいのかわからなくなって反応に困ってしまった。
向こうは今までと変わらない優しい笑顔を浮かべていて、その笑顔が好きだった、はずなのに……怖い、と思ってしまうのはどうしてだろう。
「花?」
「……あっ、う、うん!久しぶりだね」
作り笑いを浮かべるけど、きっとバレバレだ。
「どう?今は」
「えっ…?」
「ほら、俺が弱いからあんな最低な別れ方しかできなくて、花大丈夫かなって思って」
駿輔が申し訳なさそうに眉を下げる。
その言葉を聞いて、少しだけ泣きそうになった。
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