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「うん、もう今は大丈夫だよ」
これは本心だった。
駿輔も過去に囚われず気にしないでほしいって素直に思ったから、自然と笑うことができた。
なのに駿輔は悲しい顔をする。
「……俺、本当は今も後悔してる」
「え…?」
「俺はやっぱり花しかダメなんだ…もう一度、やり直したい」
真剣な表情から、本気であることが伝わってきた。
答えは決まっている。
だけどそれを言ってしまえば、駿輔を傷つけてしまうことになる。
そう思うと中々口にするのに勇気が必要だけど、今の私には雄大がいるから。
「ごめん、私実は今彼氏がいて…その人と前に進んで頑張ろうって思えたの。
だから駿輔の言葉は受け入れられない、本当にごめんね」
私が泣いたらダメだと思い、俯いて必死で涙を隠す。
「……そっか」
少しの沈黙が流れた後、駿輔が口を開いた。
顔を上げれば駿輔は笑っていた。
「じゃあ仕方ないね」
意外にもはっきりとした声で話し、驚くほど綺麗な笑顔を浮かべた駿輔に私は…どうしようもなくゾッとしてしまった。
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