161人が本棚に入れています
本棚に追加
「雄大!」
雄大のいる病室を勢いよく開ける。
個室のため、中に雄大一人しかいない。
雄大は起きていて、私の方を驚いたように見つめてきた。
だけど驚いたのは私の方だ。
だって雄大は…目をそらしたくなるほど、傷だらけだったからだ。
「雄大、その怪我…」
「ああ、なんかさ。昨日夜にバイク乗った悪そうな男集団に絡まれてこうなった」
拉致られなかっただけマシだよな、と言って笑う雄大だけど笑い事じゃない。
「なんで…?何か悪いことでもした…?
雄大は何もしていないのにどうして?」
「花、落ち着け。
俺は平気だから、こんな怪我すぐに治す」
一週間は安静のため入院らしいけど、一週間ってことはただの怪我ではないと思う。
「泣くなよ」
「だって…」
「なんかわかんねぇけどさ、なるべく夜道は歩くなよ?俺の彼女ってだけでもしかしたら狙われるかもしれないから」
真剣な表情をする雄大に、私はただ頷くことしかできなかった。
最初のコメントを投稿しよう!