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「……もしも」
『もしもし？花、どうしてスマホの電話とってくれなかったの？』
言葉が出なかった。
電話越しに聞こえる、駿輔の声。
『まぁ仕方ないよね、今はあの男のことで頭がいっぱいだから』
「な…に、言って……」
「でも安心して？
これからは僕のことしか考えられないくらいにしてあげるから」
気のせいだろうか。
やけに駿輔の声がはっきり聞こえたのは。
心臓が嫌な音を立てる。
ゆっくりと振り向けばそこには…
スマホを耳に当てた、駿輔の姿が。
なんで？
どうやって家の中に入ってきたの？
どうして駿輔がここに？
「花、俺と一緒に行こう？」
私を捉えた駿輔。
優しく微笑むその笑顔が、今は怖くてたまらない。
ああ、もう私は…駿輔から逃げられない。
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