0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
照明技師のNさんがまだ駆け出しだった頃の話。
急病で倒れてしまった先輩の代打で、急遽、とある劇団の照明を担当することになった。
小屋(芝居を行う小劇場のこと)に到着し、舞台監督と慌ただしく打ち合わせを行う。
先輩はすでに照明の仕込みも終え、ゲネプロ(リハーサルのこと)も終わり、あとは本番を待つのみ、というところで、倒れてしまったらしい。
本番まで残り時間わずか。とにかく時間が惜しい、Nさんは調光室に入った。
キッカケに合わせてボタンを押すだけになっているはずだ、と舞台監督が言っていたとおり、回路も問題なさそうであるし、先輩が残した台本や、照明卓には順番通りにナンバリングがされている。このナンバー通りに操作すれば問題なさそうだ、とNさんは胸をなで下ろしたのだという。
最初のコメントを投稿しよう!