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二人で暮らす想像をすると自然と口元が綻ぶ。それに自分でも気づいてしまうくらいにやけていて、俯けた顔を蒼二はなかなか上げられない。ますます顔が熱くなっていくようで、のぼせたみたいに身体まで火照ってくる。
「蒼二さん、こっち向いて」
「駄目、いま恥ずかしい」
「こっち見て、キスしたい」
下を向いた蒼二の耳元で囁く紘希の声は優しくて甘い。先をねだるようにこめかみや頬に口づけられると、恥ずかしさがどんどんと増していく。
しかしキスをしたいのは紘希だけではない。もっと触れたいという気持ちに誘われるように、蒼二はゆっくりと顔を持ち上げる。するとその顔を見て紘希はやんわりと目を細めて笑った。
「蒼二さん、可愛い」
「か、可愛くなんてない」
「可愛いよ。可愛すぎていますぐ食べてしまいたい」
「余さず食べてくれていいよ」
「そういうところも可愛いよね。食べていいの? 本当に余すところなく食らい尽くすけど、いい?」
優しい色を含んでいた瞳に熱が灯った。まっすぐとその眼差しに見つめられると、その熱が移るような気持ちになる。熱に侵食されて、浮かされてしまいそうで、蒼二は小さく肩を震わせた。けれど顎を指先で掬われて唇を重ねられると、心に移った火が燃え上がるような錯覚に陥る。
何度も深く合わさる唇、その先が欲しくて自ら舌を伸ばして蒼二は紘希の唇をねっとりと舐め上げる。そんな蒼二の拙い誘いに口の端を持ち上げた紘希は、応えるように舌先を伸ばし蒼二の舌を絡め取った。
舌と舌を撫で合いざらざらとした感触を堪能する。視線をまぐわして瞳の奥の熱を感じれば、興奮でざわりと毛が逆立つような感覚が広がった。
「ぁっ、んっ」
浴衣の合わせ目から大胆に紘希の手が滑り込み、胸を撫で回し小さな尖りをもてあそぶ。ぷっくりと膨れ上がったそれは、指先で弾かれて次第に赤く熟れていく。ツンと立ち上がった先を指先できつくつままれ、熱い吐息を吐き出しながら蒼二はか細い声を漏らす。
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