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「可愛い。でも蒼二さんここをいじるとすぐイッちゃうからな」
「んんっ、ごめん」
「いいよ、でも今日は早く蒼二さんの中に入りたい」
「あっ、紘希!」
耳元で囁かれたと思えば、ふいに身体を抱き上げられて、驚いている間に膝裏にするりと手が入り込む。気づけば横抱きに持ち上げられ、慌てて蒼二は首元に腕を回して抱きついた。軽々と蒼二の身体を抱き上げた紘希は軽い足取りで敷かれた布団へと近づいていく。
「ちょっと待ってて」
「え、うん」
布団の傍に蒼二を下ろすと、紘希は並んだ布団のうち一つの掛け布団をめくる。そして枕元に置いていたバスタオルを敷き布団に広げた。
それは布団が汚れないようにするためだと言うことは蒼二にもわかる。しかし部屋に戻ってきてから、なに気ない様子でバスタオルを枕元に置いた紘希のことを考えると、顔に火が付いたみたいに熱くなった。
それは最初からする気であったと言うこと。期待がなかったわけではないが、あの時言っていた「いまは我慢する」と言った言葉の意味がいま返ってきた。そのことを思うと胸の音が響いてうるさいほどだ。
「どうしたの? もしかして、緊張してる?」
「緊張って言うか、胸がドキドキしてやばい。いや、緊張なのかな。いつもの部屋じゃないから」
頬を染めてそわそわと視線を揺らめかす蒼二を振り返った紘希は、小さく首を傾げて見つめてくる。その視線にますます音が高鳴って、壊れてしまうじゃないかと蒼二は胸をぎゅっと押さえる。そのあいだにも鞄からゴムとローションまで出てきて、期待されていたことにも気づいてしまう。
「用意周到すぎて引いてる?」
「ううん、期待が高まってどうしたらいいか、困ってるだけ」
「蒼二さんって普段大人しいくせに、エッチなことするの好きだよね」
「あっ、やらしくてごめん」
「全然、大歓迎だけど。こんなことならもっと前から迫っておけばよかった」
顔を真っ赤にしてうろたえる蒼二に目を細めると、紘希はあたふたとする身体を布団の上に押し倒す。遠慮もなく押し倒された蒼二は目を瞬かせて紘希を見上げた。するとゆるりと口の端を上げて笑みを返される。
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