甘恋-Amakoi-

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 帯が解かれたことによりすっかりはだけきった浴衣は、もうすでにその役目を果たしていない。肩にわずか引っかかっている程度で、背徳的ないやらしさを倍増させるだけだ。  さらにハアハアと獣のような息づかいと甘やかな喘ぎ声が混じれば、その場の空気はやけに湿り気を帯びる。しんとした部屋の中にはぬかるむ水音と肌と肌がぶつかる音が響く。 「ぁっ、紘希、もっと、もっとして」 「蒼二さん……すごい、持っていかれそう。締め付けがきついくらいだけど、たまんない」 「んっ、ぁあっ、奥、奥まで、酷くして」 「ほんとやばい。蒼二さんエロ過ぎだよ」  ぎゅっと指先でシーツを掴む蒼二は、腰を高く上げ激しく穿たれながら腰を揺らめかせる。突き立てるように押し込まれた熱が最奥をこすれば、身体を震わせて艶めいた声を上げた。  その声と刺激に当てられている紘希は細い腰を鷲掴み、誘われるように何度も腰を突き動かしている。荒い息づかいと甘ったるい声が混ざり、余計に二人の興奮が煽られた。 「こ、うきっ、ぁっ、あんっ、気持ち、いい、もっと」 「んっ、って言うか、俺のほうが気持ちよすぎてやばい。めちゃくちゃうねってしゃぶりついてくる」 「こう、き、紘希」  首を後ろへ回して振り返る蒼二は、片手を伸ばして紘希に触れようとする。指先が微かに腕に触れると、引き寄せるように力を込めた。  しかし紘希はその手を掴んでぐっと背後から肩を押す。頭や上半身がシーツに押さえつけられ、蒼二はくぐもった声を漏らす。けれど今度はいきなり両腕を強く後ろへ引っ張られて甲高い嬌声を上げた。 「あぁっ、あっ、んっ、深、いっ、ぁんっ、いいっ、奥に当たってる」  無理な体勢が余計にタガを外させるのか、喘ぎすぎて締まらない開きっぱなしの口からは唾液がしたたり落ちる。口の端を伝い落ちたそれはぽつりぽつりとシーツを濡らした。  過ぎるほどの快感に蒼二は髪を振り乱しながら顔を振る。汗ばんだ肌や頬に柔らかく細い蒼二の髪が張り付く。 「あ、イクっ、もう、もうイキそうっ」  押し寄せてくる波に蒼二はぶるぶると身体を震わせる。内ももが痙攣し、口がはくはくと息をする。それでも紘希は律動をやめず、さらに強く腕を引き寄せた。
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