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「で、最初の質問だ。何やってんだ?」
な、にも。
攫われることはないだろうとわかっても、警戒を解くことは出来ず、彼から視線をそらさずに答えたが、かすれて半分声にならなかった。
庭に出て何かしようと思っていたわけではないから、嘘ではない。
気分転換にと思っていたが、そんなことを教えるつもりはなかった。
かさり、と葉っぱがないた。
不知火さんが静かに、こちらに向かってくるのが薄明かりの中で見える。
途端に体に緊張が走り、咄嗟にさっき受け取った洋銃を構えた。
これ以上、不知火さんが近づかないように。
息を飲み込み、睨みつけて照準をあわせる。
銃を触ったことなどないから使い方もよくわかっていないが、外すわけにはいかない。
「来ないで」
乾いたままの口から発した言葉は、小さすぎて聞こえなかったのかもしれない。
彼の足は止まらない。まっすぐこちらへ進んでくる。
「顔色が悪いぜ」
不知火さんの声なのに、今まで聞いたことがない声色。まるで違うように聞こえる。
静かな声はストンと胸に落ちてきて、額に張りついた髪に触れられた。
ヒュッと喉がなって、呼吸が止まりそうになる。
止まらない震えは指先まで伝わって、カチャカチャと洋銃がなっている。
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