3.婚約

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3年前、突然 「修行しに行ってくる。」 と言って私の前から姿を消したカイトは、前とは別人に変わっていた。 私よりも小さくて、泣き虫で、虫が嫌いだった、弟のようなカイトの面影はなくなっている。 今度は自分が妹になった気分だ。 「ごきげんよう、マダム。北条カイトです。」 そう言って、私の手の甲にキスを落とした。 私の前に姿を表した彼は、私よりも大きくて、顔立ちもとても良い。 でも何故か笑ってしまう。 「クスッ。そんな他人のように接し無くてもいいのよ。昔のようにして頂戴。」 「そう…。久しぶりだね、美弥妃王女。」 ニヤリとイタズラれに笑った顔に、私は吸い込まれた。
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