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しばらく自己嫌悪に陥っていた聖里のもとにLINEが届いた。母親からだった。
『パパ、ああ見えて忘れっぽいのよ。忘れっぽいから念のため病なんだろうね』
すぐに続きが送られてきた。
『でも念のため病って、正直者ってことでもあると思うの。何でもごまかさずにやろうとするから、前もって心配しちゃう。失敗しないようにって必死で準備しちゃう。ま、バカ正直なんだけどね(笑)』
『だから、さっきの白い紙、パパはただ忘れてるだけだと思います。聖里が何を想像しているのかわからないけど、パパはウソをついていないよ。パパと20年一緒にいる私が言うんだから間違いない』
どうにも煮え切らない思いで母からのLINEを読んでいた聖里だったが、最後に添えられていた『彼氏ができたらちゃんと教えてよ』という一文を見つけ、何か救われた気がした。
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