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 聖里は慌ててバッグからあの白い紙を取り出し、手触りを比べる。 「つるつるが同じ!」 「でしょ。レシートに使うのはカンネツシと言います。熱を感じる紙ね」 「へぇ、感熱紙かあ」やっと手に入れた宝物のように、聖里は白い紙を愛おしく撫でまわした。 「パソコンより前、ワープロを使ってた頃は、インクを使わない感熱紙が流行ってたみたい。表面に特殊な色素が塗ってあって、熱をあてると化学反応で発色するんだってさ」 「でも、この白い紙が感熱紙だと、どういうことなの?」  聖里が訊くと、美緒子はポケットからもう一枚の紙を取り出した。 「コンビニはだいたい、領収書もこの紙で印刷するんだけど、感熱紙って何年もたつと文字が薄くなっていくことがあるらしいんだ。こんな感じに」  美緒子が出した別の紙は、印刷された金額や日付が辛うじて読める程度にまで文字が薄らいでいる。しかし「須藤運送」という、宛名として書かれたらしい手書きの文字だけは、鮮やかに黒く残っている。 「私の白い紙と似てる!」 「周りの文字がもっと薄く白くなったら、聖里の紙と同じ状況になるよね。手書きのところだけが残って、あとは真っ白」
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