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駅前の賑やかなエリアから一本、奥へ入った住宅街。東西に伸びる道沿いに小ぢんまりとしたコンビニがある。没しようとしている夕日が道路を茜色に染めていた。その間接照明を受け、コンビニのガラスも暖かみのある色合いを見せている。
「おまたせ。5分早くあげてもらっちゃった」
イートインスペースにいる聖里に声をかけたのは、同級生で、このコンビニでアルバイトをしている美緒子だ。あの白い紙の正体を突き止めるため、「バイトの後で相談があるんだけど」と聖里はLINEを送っていた。
「ヤバいものかも。秘密の書類みたいのを見つけちゃったの」
知った顔に会えて、聖里は少しほっとした様子だ。イートインにはほかの客もいたが、不気味な白い紙のことを誰にも相談できないという意味では、孤独と同じような状況だった。
「この紙」
聖里が白い紙を取り出すと、美緒子は興味深く眺めた。
「この聖里って、聖里のことだよね? で、翔太って誰?」
「それがまったくわからないの。会ったこともないし、聞いたこともない。ていうか……」わかりやすくうなだれた聖里がひと呼吸おいた。「親には怖くて訊けない」
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