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『知らないなあ。ママの親戚じゃないのか?』
文面を読むなり、聖里は難しい顔をしながらスマホを美緒子のほうへと向けた。
「パパ、何か隠してる。絶対にパパの字なのに」
「じゃあ聖里は、この紙がなんだと思うの?」
「一番恐れてるのは」二人しかいなくなったイートインで、聖里は誰かの視線を気にするそぶりを見せた。「私に、お兄ちゃんか弟がいるのかもしれない」
眉間に小さな皺を寄せ、切羽詰まった表情で聖里は言ってのけた。
目線を合わせていた美緒子も、思わず眉間に力が入っていく。「それが、この、翔太?」
「でも翔太は、私が赤ちゃんの頃に死んじゃったとか、どこかに貰われていったとか、そういう悲しいエピソードがあるのかもしれない。だから私から、親には訊きづらいわけ」
小さく何度も頷く美緒子が、不意に白い紙へと手を伸ばした。
「こうやって男女が並んでると、カップルみたいじゃない? あ、ってことは……」白い紙を目の高さに上げて凝視している。
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