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水は味気ない?
「ホットコーヒーさん、聞いてくださいよ。」
「おう、どうした水。」
「私ずっと昔から気にしているんですけど、私ってやっぱり味気ないですか?」
「味気ないって、お前は水だろ。
味がないのが当たり前じゃねーのか。」
「いや、それは分かってますよ。
水に味がないのは百も承知です。
それでも、なんだかこのままで良いのか分からなくて。」
「ふん、生意気にも自分についてよく語るじゃねーか。
でもよ、味があるってことは決して良いことばかりじゃねーぞ。」
「なんでですか。
いつも皆が飲んでいる味のない水より、いつもとは違う味がある方が嬉しいじゃないですか。」
「そうだな、時にはいつもと違う物に触れたい気持ちは分かる。
けどよ、味があるってことは、他を殺すって意味もあるんだよ。」
「味を殺す?
一体どういうことですか?」
「例えばだかな、カレーを食いながらコーヒーを飲むと味がおかしくなっちまう。
お茶ならそれほどおかしくはならないかもしれないが、気づかない程度には変わってるんだ。
だからよ、他の味を全く変えない、味を殺さないのは、無味無臭の水しかねーんだ。
それに、何よりお前ら水がいなければ、大概の飲み物は生まれないしな。
地味かもしれないが一番大切な、縁の下の力持ちがお前の味なんじゃないのか。」
「そうか、そうだったのか。
味があるだけが味じゃない!
そう言ってもらえると、なんだか自信を持てる気がします。」
ゴトン
『いやー、なんだかんだ言って、やっぱ水が一番だよな。
何食べても会うし、顔洗ったり、手洗ったり、口ゆすいだりも出来るし。
水は本当に万能だわ。』
「、、、。
俺の体って、何パーセントが水で出来てるんだろう。」
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