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別にイヤではない。
イヤじゃないけど…このままじゃ、さすがにいけない気がする。
いつもの学生生活では、ほとんど会話も接点も無いのに、キスだけ…の付き合いってのは流石に…。
思い出すだけでも、顔が赤くなる。
彼女の甘いリップの味とか。
柔らかな唇の感触。
それに…微かな彼女の匂い、とか。
さすがに意識せずにはいられない。
なので放課後、帰ろうとした彼女を捕まえた。
ちょうど一人でいたので、捕まえやすかった。
「ちょっと良い?」
「えっ…」
私達は誰もいない教室に移動した。
「あのね、キスする理由を聞きたいんだけど…」
彼女は明らかにバツの悪そうな顔をした。
「遊びなら、そろそろやめてほしいと思って…」
「あっ遊びなんかじゃない!」
いつもの彼女からは考えられないほどの大声と剣幕に、ビックリした。
「遊びなんかじゃ…ない」
そう言って涙ぐむ。
「じゃあ、何でキスするの? 理由も分からずされてる方としては、そうとってしまうのよ」
「…きだから」
「えっ?」
「好き、だからぁ…」
ボロボロと涙を流す彼女を見て、思わず可愛いと思ってしまう。
「…なら先に言ってほしかったわね」
「えっ…? でも…」
「私はね」
彼女の頬を両手で包み込んで、にっこり微笑んだ。
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